・「協議離婚」で合意ができず、「家庭裁判所」の「調停」でも「審判」でも、『離婚』の成立に至らない場合…それでも、〈絶対に『離婚』したい!〉‥と思うなら、もう《裁判》しかありません。今度は《離婚調停》ではなく『離婚』の訴訟を起こし、《離婚を認める判決》を勝ち取るのです。
《離婚を認める判決》が得られれば、合法的に婚姻関係を解消させることができます。このように、裁判所の判決により『離婚』を成立させる方法を『裁判離婚』といいます。
・《離婚を認める判決》には、当事者(夫婦)の一方がいかに『離婚』を拒んでも、強制的に婚姻関係を解消させてしまう強い効力があります。そこで、『離婚』の裁判は、民法で定められた《離婚原因》がある場合に限り認められます。
《離婚請求》の訴えの中に、定められた「離婚原因」が認められず、婚姻関係を継続した方が適切だと判断される場合…裁判所は、《離婚請求》を退けることができるのです。
この点において、「裁判離婚」は、「協議離婚」や「調停離婚」とは全く異なるワケですね…。
・「裁判離婚」における「離婚原因」について、民法(第770条)は、以下のように定めています。
○夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる
- 配偶者に不貞な行為があったとき
- 配偶者から悪意で遺棄されたとき
- 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
- その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
○裁判所は、前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる
・『離婚』の裁判を起こすためには、民法で定められた五つの「離婚原因」のどれかに該当することが必要です。そして、『離婚』をしたいと望む本人(申立人)が、その「離婚原因」を証明しなければなりません。
〈「離婚原因」に該当してる〜!〉…という事実や証拠の申出をして、そのことを《立証》するワケです。専門的な法律の知識が必要です。想像すると、眩暈がしそうですが…裁判の手続きは、専門家(弁護士)に依頼するのでしょうね。
・『離婚』の裁判の途中で、「財産分与」や「慰謝料」などに関する合意…《和解》や《認諾》によって、『離婚』が成立することがあります。この場合、「裁判離婚」ではなく、『和解離婚』や『認諾離婚』なの?…というワケではありません。
裁判の途中で和解に同意・認諾したときは、「協議離婚」とみなされて《離婚請求》が取り下げられます。この場合の手続きとしては、「離婚届」と共に『和解調書・認諾調書』の提出が必要になります。
要するに、『離婚』の基本(?)は、《協議離婚》なんですね…。
・また、『離婚』の裁判では、一審で敗れた相手が不服とあらば…二審(高等裁)、三審(最高裁)…と、長期化する恐れもあります。弁護士費用等の金銭的な負担に加えて、精神的な負担にも耐えなければなりません。
《離婚を認める判決》を得るために、費用と時間をかけ心労に耐え、法廷で争い続けるのです。心身ともに《タフ》でなきゃ!
「裁判離婚」を行う人は、離婚全体の約1%です。
…《百分の一》の理由が、分かったのではないでしょうか。