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慰謝料と損害賠償金 慰謝料請求調停…慰謝料と財産分与は違う

損害賠償金の性質をもつ「慰謝料」、「財産分与」に含まれない場合は個別に請求することも可能!

・「慰謝料」について、民法(第710条)は、以下のように定めています。


〈他人の身体、自由又は名誉を害したる場合と財産権を害したる場合とを問わず、前条の規定(…不法行為)により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対してもその賠償をしなければならない〉


「慰謝料」は、《不法行為》によって身体および精神的苦痛を与えた者が、損害賠償金として支払う金銭のことです。『離婚』によって生じる「慰謝料」とは、離婚原因となった《不法行為》をした相手(配偶者・不倫相手など)に対する、《損害賠償》の請求なのです。


・『離婚』に至る原因は十人十色、夫婦それぞれあることでしょう。そして、暴力や浮気などの《不法行為》が原因であれば、どちらが《有責配偶者》か明白です。

しかし…性格の不一致・信仰上の対立・親族との折合いが悪い‥などの場合には、〈夫婦のどちらか一方だけに責任がある〉という事実を明確にするのは、難しいと思われます。ほとんどの場合、両者に何らかの責任があるものです。

このように、『離婚』の原因をつくった責任者の判定(?)が困難であったり、両者とも同程度の責任である場合…夫婦のどちらも、『離婚』に伴う「慰謝料」は請求できません。


・『離婚』に伴う「慰謝料」は、《不法行為》をした相手からの《損害賠償》を意味するところから、《有責配偶者》からの請求は認められません。しかし、《有責配偶者》に生活能力が無ければ…〈『離婚』したら極貧生活に〜〉‥といった事態も考えられます。(…天罰?!)

ここで、「財産分与」の登場です。《有責配偶者》は「慰謝料」の請求はできませんが、「財産分与」の請求はできるのです。

生活力のある配偶者に『離婚』の責任が無い場合でも、生活力のない《有責配偶者》に対して「扶養的財産分与」を行うことがあります。(…地獄に仏)



・『離婚』に伴う「財産分与」と「慰謝料」では性質が異なるため、別々に請求することができます。また、「財産分与」に「慰謝料」を含めることもできるため…この場合には、「財産分与」と別個に「慰謝料」を請求することはできません。(二重取り禁止!)

ただし、「財産分与」に「慰謝料」が含まれたとしても、精神的苦痛を慰謝するには足りない場合には…《不法行為》を理由として、別個に「慰謝料」を請求することができます。



・「慰謝料」の金額や支払方法については、夫婦間の協議で具体的に決めます。「財産分与」と同様、「慰謝料」を確実に受け取るためには…支払方法は、《一括払い》にするのが良いでしょう。

《不法行為》の末、多額の「慰謝料」を払うハメになった《有責配偶者》に、〈分割払いにしてよぉ〜〉‥と泣き付かれた場合は、初回の支払額をメいっぱい多く設定します。



・『離婚』に伴う「慰謝料」について、夫婦の協議で決まらない場合…離婚前であれば、《離婚調停》や「審判」、または裁判の判決によって決められることになります。離婚後は、『慰謝料請求調停』の申し立てをします。



☆裁判所ホームページ『慰謝料請求調停』

http://www.courts.go.jp/saiban/syurui/kazi/kazi_07_05.html





・「財産分与」と「慰謝料」は、《離婚請求》とは切り離して請求できるため…「調停」を経ずに、「審判」や裁判を申立てることも可能です。

「慰謝料」は、『離婚』が成立した日から3年以内であれば請求できます。「慰謝料」の時効(?)は、「財産分与」よりも1年間長いのです。

3年が経過しようとしても、癒えない苦痛。…損害賠償額、高そっ!

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